コーヒー業界では、品質の保証と向上を担う専門的な資格が存在します。その中でも重要な資格の一つに「Qグレーダー」、正式には「Licensed Q Grader」があります。本記事では、Qグレーダーについて詳しく解説し、その役割や取得方法についてご紹介します。
Qグレーダーの資格とは?
Qグレーダーとは、国際認定試験に合格し、高度なコーヒーの品評能力を持つコーヒー豆鑑定士のことを指します。Qグレーダーの主な仕事内容は、コーヒーの評価・鑑定です。国際コーヒー品質協会(以下CQI)が認定を行います。コーヒーの品評において非常に重要な役割を果たす専門家であり、国際的な基準に基づいて、コーヒーの香り、味わい、酸味などの特性を正確に評価する能力を持っています。Qグレーダーの存在は、コーヒー産業全体の品質の向上に寄与します。
Qグレーダーには主に2種類の資格が存在し「CQI認証アラビカグレーダー」と「CQI認証ロブスタグレーダー」に分けられます。アラビカ種のコーヒー豆鑑定士資格はCQI認定Qアラビカグレーダー、ロブスタ種のコーヒー豆鑑定士資格はCQI認定Qロブスタグレーダーになります。
役割
Qグレーダーは所属するCQIを通じ、スペシャリティコーヒーの定義という権限を所持します。CQIが認定した審査員3名が無作為に選ばれ、アメリカスペシャルティコーヒー協会(以下SCAA)が評価基準のスコアを付け80点以上のものがスペシャリティコーヒーと認定されます。産出量は少なく、全体の20%に満たないという希少性です。
Qグレーダーは、コーヒーの品評を通じて、農園や生産者と協力し、品質改善のためのフィードバックを提供し、また、市場に流通するコーヒーの品質を確保します。Qグレーダーの評価がとても重要な役割を果たしています。
試験と基準

Qグレーダーの試験はコーヒーの資格の中でも最難関
Qグレーダーになるためには、コーヒーを評価する能力のための厳しい試験を受ける必要があります。この試験は、スペシャルティコーヒーアソシエーション(SCA)が主催するものであり、国際的な標準に基づいて行われます。試験では、コーヒーの品質を評価するためのカッピングやスコアリングの正確さなどが求められます。
講習を受けた後、18項目のテストを受け全て合格しなくては資格取得することができません。
以下、試験詳細になります。
| 受験資格 | なし |
| 受験内容 | 6日間連続の研修(試験含む) ・8科目18試験 |
| 受験費用 | 250,000円~350,000円 ※受験料含む ※受講先によって異なる |
| 申し込み方法 | JCE ATAMI LAB.より申し込み(一例) |
| 合格基準 | 18試験全て合格※再試験可能 |
| 資格更新 | 更新試験必須(3年毎更新) |
試験科目と概要
| 科目名 | 試験概要 |
| General Coffee Knowledge (筆記試験) | コーヒーに関する一般知識の筆記試験 マークシート方式となっており、60分で約100問を回答していきます。 |
| Sensory Skills Tests (味覚) | 味覚に関する科目 アラビカコースは甘味・塩味・酸味、 ロブスタコースは甘味・塩味・酸味・苦味に関する味覚試験を行います。 味が混合した場合の味の違いについても勉強します。 ショ糖・食塩・クエン酸などの水溶液を使用する試験となっており、コーヒーは一切使用しません。 |
| Olfactory Tests (嗅覚) | 嗅覚に関する科目 コーヒーに含まれることが多い36種類の香りを4つのグループに分けて学びます。 各種の香りを識別・同定できるかが審査されます。 実習や試験では実際に香りをかいで計4回行う試験です。 |
| Triangulation Tests (コーヒーを区別する) | 産地別のフレーバーの違いからコーヒーを区別 産地によって違うフレーバーを区別する能力があるかを審査する試験です。 試験は計4回行われ、3つのコーヒーから異なるものをカッピングによって識別します。アラビカコースはMild、Africa、Natural、Asiaを。ロブスタコースではLatin America、Africa、East Asia、Indonesiaを識別します。 |
| Organic Acid Matching Pairs Test (有機酸プロファイリング) | コーヒーに含まれる有機酸についてのメカニズムや風味に与える大切さなどを学ぶ コーヒーに含まれる有機酸や、コーヒーの風味に与える重要性などを座学での勉強と実習を行います。 有機酸というと少し難しく感じますが、内容はコーヒー液の中にリンゴ酸、酢酸などをいれ、コーヒーの中に入っている酸を回答する試験です。 |
| Roasted Sample Identification (コーヒーサンプルへの理解) | SCA方式のカッピングに用いるコーヒーのサンプルの要件について理解しているかどうか、適切なサンプルかどうか識別する能力があるかどうかを学ぶ トレイ上に並べられた3つのカップから、1つだけ焙煎の異なるコーヒーを選ぶ試験がアラビカコースでは行われ、計6トレイ分の試験を行います。 ロブスタコースでは、6つの豆の検体がどのように焙煎されたかを回答する試験です。見た目や味わいなどで判断しますが、回答の際にはしっかりと根拠に基づいた理由も必要です。 |
| Green Coffee Grading (CA方式の評価・格付) | 生豆・焙煎豆に関するSCA方式の評価・格付。ディフェクトの種類と等価換算、点数に基づく等級などを学ぶ 生豆や焙煎豆に関するSCA方式の評価を行います。 アラビカコースならSCA式、ロブスタコースならCQI式など、コースによって異なりますがそれぞれの評価に従って時間内に的確にコーヒーの格付けを行えるか審査をする試験です。 |
| Cupping Tests (カッピング試験) | カッピングプロトコル(カッピングに使用する容器)やカッピングフォーム(コーヒーの評価シート)についての実習 コーヒーの官能評価をおこなえるか、カッピング試験を通じて審査します。カッピングフォームはネットからダウンロードできるので、書き方に慣れておくのも勉強になります。 |
| General Coffee Knowledge (筆記試験) | SCAのカッピングプロトコルやカッピングフォームについて概説し、カッピングの実習 生豆や焙煎豆に関するSCA方式の評価を行います。 アラビカコースならSCA式、ロブスタコースならCQI式など、コースによって異なりますがそれぞれの評価に従って時間内に的確にコーヒーの格付けを行えるか審査をする試験です。 |
▽カッピングについての詳しい記事
Cupping -品質を評価する-

Qグレーダーの取得にあたって

Qグレーダーになるには、まずSCAが主催するQグレーダー認定試験に合格する必要があります。200,000円以上の費用がかり、連続した6日間の講習の上試験があるため、まとまった時間が取れない人には講習を受けることができません。試験の難易度は高く、カッピング技術や品評能力を厳密に評価されます。試験に合格すると、Qグレーダーの称号を取得し、コーヒーの品質評価において認められた専門家となることができます。
具体的な勉強方法
試験内容にはコーヒーの一般知識もありますが、それ以外の官能感覚を使った試験が多く存在します。
コーヒーの知識は書籍などで勉強すればある程度の知識を付けることができますが、感覚のトレーニングは難しいです。コーヒーのカッピングの際、視覚に頼らないように部屋の明かりを暗くしたり、目隠しなどをして鍛えた方もいます。視覚情報が少ない状態の場合、口に含んだコーヒーに集中できます。また、フルーツなどを食べた際の甘さ、酸味などが舌のどこで感じるか、などを意識するだけでも日々の味覚は鍛えることができるでしょう。日々飲んでいるコーヒーから産地を当てたり、様々な産地のコーヒーと触れあい、自信の幅を広げていくことが重要です。コーヒー豆の焙煎の判断などは、自分で様々な焙煎度合いのコーヒーを経験し、視覚での焙煎度合いが判断できるようになっておく必要もあります。

資格を取るメリット
- コーヒー豆の流通、仕入れなどに携わることができる
Qグレーダーは焙煎されたコーヒーだけでなく、生豆の評価も行います。直接生産地に出向き、一次的な流通に関われます。 - 国際コーヒー豆鑑定士としてスペシャリティコーヒーの認定に携われる
Qグレーダーは、コーヒーの評価を行うので、高い評価がつけられたコーヒー豆はQ認証コーヒーとして認められます。自分が評価したコーヒーに認証が与えられ、世界に流通するスペシャリティコーヒーになる事は大変名誉です。 - ビジネスにおける信頼になる
コーヒービジネスを持っている、または初める際には、業者や顧客への信頼や取り組みの意思表示にも繋がります。

資格を取るデメリット
- 認知度が低い
国際資格と言っても認知度は低く、コーヒー好きなら聞いたことがある程度の人はいるかもしれないですが、詳しくない人が大半です。珈琲鑑定士などの資格の認知度が、Qグレーダーより高い場合もあります。 - 資格取得の費用と時間
他の資格に比べて費用が高く、6日間の連続した期間を確保しなければいけません。 - 更新試験をパスする必要がある
試験取得時と同じような講習はないですが、豆サンプルの欠陥を正しく記入できるか、カッピングフォームを正しく使用できるか、更新試験に合格する必要があります。不合格もあるので、常に勉強しなくてはいけません。更新試験は3年に1度です。
まとめ
Qグレーダーはコーヒーに関する唯一の国際認定資格です。そのため、試験を高い合格基準でクリアし、知識に関する筆記試験をクリアして合格になります。難易度は非常に高いとされ、世界のコーヒー従事者の0.016%しか合格できない資格と言われています。
Q一朝一夕では取得できる資格ではなく、資格取得後も継続して勉強する必要があります。向上心や探究心を継続してコーヒーの知識を持ちます。コーヒーは日々たくさんの産地で試行錯誤されているので、たくさんの種類が今後も出てきます。コーヒーを常に学ぶ姿勢がないとこの資格を取得することは難しいかも知れません。コーヒー業界において品質管理と向上のために欠かせない存在で、高度な品評能力は、生産者と消費者の間の信頼を築く上で重要な役割を果たしています。取得は困難ですが、その称号を持つことで、コーヒー業界での専門的なキャリアを築きます。



